心をひらく

この間ばったり知り合いに会いました。私が生まれたころから家族ぐるみでお付き合いしているおばちゃん。私をいつも見守ってくれて、折々にすてきな本やことばの贈り物をしてくれた人。

受け入れてもらえるだろうか、変なふうに思われないかな、そんなふうに心配してしまって、しばらく会っていない人に近況を話すことが出来ていませんでした。会社を休んでいること、ばったり会った時に話すにしては手頃なトピックではないかなぁなんて思ったけれど、おばちゃんには話せる気がしたし、話したかった。

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●あら元気ー?帰省してるのー?お仕事どう?

◎実は体調崩しちゃって実家でお休みしてるんです。

●あら、そうなのね。疲れてる時は自然にいっぱい触れてゆーーっくりするのよ。

◎そうですね、ありがとうございます!おばちゃんは元気でしたか?

●実はね、おばちゃん病気になっちゃったのよ。あとどれ位元気でいられるか分からないのよ。今度手術するの。家族以外に言ってなかったんだけどね、あなたが心をひらいてくれたから、おばちゃんもひらこうと思ったの。

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じわっとあたたかい、やさしい空間がそこに生まれたような気がしました。涙がこぼれそうでした。ほんの3分くらいの会話だったけれど、そこには壁もなにもなくて、自分の発したことばがそのままスーっと相手の心に落ちていったように感じられて、とても心地のよいものでした。受け入れられないんじゃないかなんて、自分が傷つくことを心配していた自分がバカらしくなるくらいに。なにより私が心をひらいたことで、相手も心をひらいてくれたことが本当に嬉しかった。心を通わせるってこういうことなんじゃないかなって思った。

 

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こんなの話して引かれないかな、KYじゃないかな、そんな心配や気遣いは、自分が傷つくかもしれない恐れからくるものなのかぁとかとか考えています。そうやって気を遣って話さないことは自分が傷つかない予防線を張っているだけで、実は話さない方が自意識過剰なのかもしれないって。相手からひらいてくれるとは限らないし、相手がひらいてくれるのを待つのは意地っ張りのような気がするのだ。心を通わせたいのならば、自分から心をひらく。そんなふうに考えるようになって、心が少しでも話したいと言っているのなら、その気持ちに素直に話しちゃえ!って少し心が軽くなりました。

 

でもでもやっぱり、心をひらくって恐いことだってある。受け入れられないこともあるかもしれないし、傷つくこともあるだろう。けれど言った後には、どんな反応が返ってこようとも、勇気を出して自分の心に素直になった前よりも少し堂々とした自分が残るように思う。今ひらく勇気がないのなら、またいつかひらけると感じた時に。

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多分、あのあたたかい空間も私が心をひらいていなければ、生まれ得なかった。おばちゃんの心の内に触れられてよかった。話してよかったと心から思います。