かっこいい仕事
カフェより喫茶店派なわたし。
カフェはおしゃれすぎて落ち着かない。なんだか気恥ずかしくなっちゃう。
とびらをあけて広がる異空間におじゃまする時のどきどき感。いちげんさんお断りな雰囲気を持つ店にどっきどきになりながら入れた時のちょびっと誇らしく、おとなになったような感覚もだいすき。
最近はもっぱら純喫茶ばかり。珈琲と煙草が混ざりあった匂いがもわもわと立ちこめる、ちょっと照明をおとした店。煙草のヤニで黄ばんだ壁、お客さんが置いていったであろう本、古びたメニュー。ところどころに店の歴史を垣間見ていとおしささえ感じる。
喫茶店はだいすきなのですが、珈琲は苦手で。珈琲を飲んだ後はきまってめまいがしたり、頭痛がしたりするから、いつもは紅茶やココア。
でも今日はじめて訪れた喫茶店ではブラックコーヒーをいただいてみた。
というのも、格式高い雰囲気の店内にはブラックコーヒーの飲み方レクチャー、メニューには
“ 当店の珈琲でブラックコーヒーが好きになったという方も。珈琲は自身の甘さをもっているからミルクや砂糖を入れなくても十分美味しい。”
との言葉。ほかにも焙煎や豆のこだわりの言葉がずらり。
ここまでこの店のこだわりに触れておいてブラックを頼まないのは邪道だなと思い、今日はブラックコーヒーに。カウンターに砂糖はおいていなくて、ミルクだけ運ばれてきた。
一口一口味わいながら飲んでみた。すっきりしていてすごくすごく飲みやすかった。今まで飲んだ珈琲の中でいちばん美味しかった。きちんと淹れたほんものの一杯はこんなにも美味しいんだとびっくりした。今まで飲んだ珈琲はなんだったんだろうって。
クラシックが流れる店内はとても居心地がよくて、ついついぼーっと無になってしまった。
お会計の時、わたしのきょどりっぷりに初来店だと察したであろうオーナーのおばちゃんにさりげなく
「お味どうでしたか?」
と尋ねられた。きっと自信があるからこそのひと言なのだろう。ウソなくきちんとつくった自信があるからのひと言なのだろう。おばちゃんかっこいいっ………!!!
あとで調べてると、その店は皇室に珈琲豆をおろしていたこともあったそう。ほんものだった◎
かっこいい仕事がしたい。胸をはって人に差し出せる、うそのない仕事をしよう。そう思った。